ちょス飯の読書日記

 『悪霊』3 ★★★☆☆

悪霊〈3〉 (光文社古典新訳文庫)

悪霊〈3〉 (光文社古典新訳文庫)

 読むのに、ものすごく難儀した。ロシア語を日本語に翻訳することは、難しい。翻訳ものは、読みにくい。現代人にわかりやすい言葉で書かれているはずだが・・・
 ひたすら、集中して読みとうとう解説まで読みおおせた。自分に三ツ星。

 いきなり、殺人事件が連続して起きる。実験的な小説だ。実際にあった活動家のグループ内の殺人事件が、モデルとのことだが・・・
 1.2巻では誰も死んでいないのに、主要人物がほとんど死んでしまうという筋立て。

 世直しをしようと、「人間の10分の一が支配者になり自由を享受すればよい。あとのものは、家畜奴隷とする」、という件には驚いたが・・・極論であり実際の世の中を皮肉っているかもしれない。

 登場人物の名前が複雑で、どの人がどういう人か最後まで覚えきれず。難解だった。もっと、原文のテーマは変えずわかりやすい書き方の『悪霊』を読んでみたい。他の原稿をもう一冊訳す、と亀山氏は意気軒昂。

 殺されてしまうシャートフ。死の直前に現れる彼の妻。3年の別離を経て今にも出産しそうな体で。果たして誰の子なのか・・・わからない。

 結局、妻のマリヤは、発狂したようになり、生まれたばかりの男児も呆気なく死んでいく。

 作り話の上でも、悪霊に取り憑かれたとはいえ人が次々に亡くなって行くのは、面白くない。豚にのりうつらせて、豚が湖に入水自殺する----という記述が聖書にあるそうだが・・・

誰の物語だったのか、・・・何を描きたかったのか、私にはとうとうわからなかった。亀山先生の解説で、補えたとはいえ。