ちょス飯の読書日記 『1Q84・book2』

ネタばれ注意 

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

★★★☆☆
「心から一歩も外に出ないものごとなんて、この世には存在しない」249頁。さきがけのリーダーの言葉に驚いた、語られなかった言葉で世界はまわっているというのに。
 女殺し屋の青豆さんの初恋、純情が切ない。
そして天吾も、20年間彼女を思い続けていたと。
「ふたりとも、30才になるまで誰かと性交していても、性欲の処理に過ぎず、心は互いを思い誰にも侵されない。愛のない性交は、一途な恋心と矛盾せず一人の中に統合できる。」
という村上節は、自分には理解できぬ。愛する人のために「操」を守るのは、文学的ではないのかな。
 また、さきがけのリーダーが青豆のことを何もかも知っていて「殺してくれたら、天吾を救う」という場面は、衝撃的だ。彼女は、彼のためなら躊躇無く命を捨てる。吾らがヒロインなのに。どうか、ふたりが出会い結ばれますように。死なないで、青豆さん。
 リーダーが、何故いたいけな少女を冒しているのか、あまりにもひどい説明でこれは宗教の狂気、凶器となる宗教のことを描いているのだろうか。お話の世界のことでも許せないし、もし実際にあったことをモデルとしているのだとしたら・・・恐ろしくて、マイナス2☆とした。
ついに天吾も、空気さなぎから出てきた10才の青豆を見て、「1Q84の世界で必ず青豆を捜し出す」と決意してBOOK2は終わった。美しい場面だっ。3が楽しみだ。