chosu-manmaの映画評『ミリオンダラー・ベイビー』★★★★☆ネタバレ注意
これは、悲しい。切ない。
ボクシングの根源にある人間の極限の姿、美しさ、不条理、凄さは、村上春樹も書いているが・・・・。
マギーは、31才。 ミズーリ出身で20年間ウェイトレスをしながら、実家に送金してきた孝行娘。ボクシングに魅せられ前座試合に出ている。
老トレーナー(クリント・イーストウッド)に弟子入りを申し込むが・・・・。「女には教えない。あんたは、年を取りすぎている」と断られてしまう。
しかし32才の誕生日の日にやっと、絶対服従を条件に、トレーナーになってもらう。
正しいトレーニング方法をマスターし、懸命な練習を積むと、次々に対戦相手をノックアウト。命をかけて闘い、ファイトマネーを稼ぐ。
母に中古住宅を買ってやるが・・・・「生活保護を受けられなくなるじゃないか、勝手なことするな。金をくれ。」と言われてしまう。
最後の場面は、愛する人のために何が出来るか、その究極の形だった。親子、親と孫ほどの年の差でも愛し合える。(性交はともなわない。)
じいさんが、静かなありのままの姿で演技するのは難しいことだ。偏屈だが、去っていった妻子のことを常に祈っている。しかし、娘に出した手紙は受け取り拒否で必ず返送される。
愛する人の尊厳を守る。最後の頼みを聞く。これは、重い。
ゲール語で「愛する人」と呼ばれたマギーは、「精一杯生きたのだから何の悔いもないはずだ」。スクラップと呼ばれる老ボクサー(モーガン・フリーマン)のセリフ。いかす。
そう、床拭きをして皿洗いをして「こんなはずじゃなかった、自分の人生はもっとちがっていたはずだと誰もが思いながら人生を終える」というのもまた然り。これも、いかす。
原作「テン・カウント」も読んでみたい。
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