ちょス飯の読書日記

 『名将大谷刑部』 ★★★☆☆

名将 大谷刑部 (新潮文庫)

名将 大谷刑部 (新潮文庫)

 関ヶ原の戦いのとき最後まで、石田三成との友情に応え、らい病進行により盲目となっても、皮膚のただれを頭巾で隠し、竹製の輿に乗り獅子奮迅の戦いをした男が居た。

 敦賀領主大谷吉継その人のことを、知りたくて読んでみた。
 筆致は冴えないが、側室であった千絵が「殿と同じ病になりたい」と最後まで、刑部を愛し抜いた姿は美しい。
 このように夫婦の一方がらい病になっても、健康な伴侶が最後まで看護して、生活を続けることは、ごく自然だったのだろう。
 また、部下も病気を忌み嫌わず最後まで、刑部を尊敬し忠実に仕えた。

 正妻高姫(家康の養女)が『らい感染』を恐れて逃げ出したのとは、対照的である。