ちょス飯の読書日記
飢餓海峡 上 ★★★☆☆
- 作者: 水上勉
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/01/26
- メディア: 単行本
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大罪を犯して、大金をつかんだ犬飼が、薄幸の娼妓 八重にその金の一部を与える。
悲惨な状況下でも、一夜の相手をしただけの客・犬飼を一途に慕い、なおあたたかい心を持って健康を維持して働くヒロイン八重。可憐でかわいい。しかし、苦界から脱出しできるくらい貯金が出来て、別の仕事を始める資金ができていても、「この仕事があっている」という娼妓たちもいた、という記述になるほどと思った。
男の性欲のはけ口となって、ただ忍耐していただけではなく、男たちから感謝され、娼妓なりの喜びもあったことだろう。
赤線廃止前夜の頃の社会情景が描かれているが、どの娼館もこの仕事に意義をもっており、女たちは悲酸な目に遭わされて働いていたわけでもなく、廃止に反対していたというところは、興味深い。