ちょス飯の読書日記
『秀吉と利休』★★★★★
- 作者: 野上弥生子
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/01
- メディア: 文庫
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映画が面白かったので原作を読んでみたくなったのだが、脚本がすごく良かったことに気づく。まったくそのままではないが、本当に赤瀬川源平氏が担当しただけのことはある。
野上弥生子氏の重い文体。容赦ない冷徹な表現。まさに「利休切腹の理由」を400年後の世界に住む私達に示してくれた。また、細やかな生活感あふれる情景描写にうなる。
牛がおわんのような糞をする場面や、朝餉の献立。茶菓子のひとつひとつの詳細なカメラワークを文章でやる。
すごい。
ちょん切られた首だけになった父の姿に、はじめて父の愛情を感じ理解する息子・紀三郎。これが解説で読むと作者の創造した人物だと言う。これは史実を基にした野上だけの物語なのだ。
虚構であるはずの小説・「野上の妄想」がまるでその場を活写しているかのようだ。