ちょス飯の読書日記

 『国盗り物語』第3巻・4巻 ★★★★☆

国盗り物語(三) (新潮文庫)

国盗り物語(三) (新潮文庫)

国盗り物語(四) (新潮文庫)

国盗り物語(四) (新潮文庫)

 無我夢中になって読んだ。
 この時代の小説をいろいろ読み比べたが、「日本人の戦国史観・明治維新史観を固定させたとも言うべき白髪おかっぱ頭で黒めがねの元新聞記者」の、最盛期に書かれたであろう最高傑作のひとつだろう。読みやすい。分りやすい。

 ただ、明智光秀の生真面目さ滑稽さ、破滅に向かう凄まじさが、悲しくて終盤は読みたくなくなった。今日、信長を自刃させて、ほんの束の間の天下人となった光秀は、百姓の竹槍に突かれて死んだ。光秀がかわいそうでならぬ。

 天晴れと言うべきなのか。江戸時代まで生き抜いた光秀の「無二の親友」細川藤孝

 前半は艶っぽい場面が多かったが、後編は信長の奇妙奇天烈な性状と反面に城下の庶民に対する優しさを描き、彼の魅力満載だが、それ以上に光秀が彼を馬鹿にしたり、脅威の目で見たり、天才なのか、と思い知ったり・・・・。しかし、禿げねずみのようなお茶目さの足りない光秀は、心のゆとりがなかった。方便を使ったり、わざと隙を見せて殿に優越感を持たせる術を知らなかった。賢すぎた。金柑頭だった。

 根回しをして、徒党を組んで天下人となった後のビジョンも構築した上で、本能寺を襲撃してほしかった。

 加藤廣氏の『信長の棺』では、光秀は朝廷からの密命により
動き、秀吉も家康もこの動きを読んでいたとある。はてさて