ちょス飯の読書日記

国盗り物語』第二巻 齋藤道三 後編 ★★★★☆

国盗り物語(二) (新潮文庫)

国盗り物語(二) (新潮文庫)

 どんな敵にも、知略謀略の作戦を立て、敵の裏をかき、何をやっても当たる連戦連勝の道三。しかし、万事休すの場面も。あるときは京の大店油問屋の亭主。あるときは乞食坊主、またあるときは山伏。しかし、美濃では遂に守護職に上り詰める・・・。だが、将軍となって愛妻お万阿の下に帰るとちかったものの50才となった道三が、自分一代では無理かも知れぬ、と初めて老いを見せるところで物語が終わった。

 道三が楽市楽座を実行し、それに腹を立てた神人(じにん)達にお万阿が拉致されてしまった場面が良かった。悪党どもに狼藉を受けてしまった妻を助けだし、川の水で清めてやり、目を覚ました愛妻にあれは狐の仕業だから気にするな、と悪党の頭数分狐の死骸を用意して見せる優しさ。これはフィクションだろうが司馬氏の理想的な英雄像だろう。

 たくましさと繊細さと。ただどの女にももてるのが憎い。これも司馬氏の憧れでは?