ちょス飯の読書日記
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1971/12/02
- メディア: 文庫
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どんな敵にも、知略謀略の作戦を立て、敵の裏をかき、何をやっても当たる連戦連勝の道三。しかし、万事休すの場面も。あるときは京の大店油問屋の亭主。あるときは乞食坊主、またあるときは山伏。しかし、美濃では遂に守護職に上り詰める・・・。だが、将軍となって愛妻お万阿の下に帰るとちかったものの50才となった道三が、自分一代では無理かも知れぬ、と初めて老いを見せるところで物語が終わった。
道三が楽市楽座を実行し、それに腹を立てた神人(じにん)達にお万阿が拉致されてしまった場面が良かった。悪党どもに狼藉を受けてしまった妻を助けだし、川の水で清めてやり、目を覚ました愛妻にあれは狐の仕業だから気にするな、と悪党の頭数分狐の死骸を用意して見せる優しさ。これはフィクションだろうが司馬氏の理想的な英雄像だろう。
たくましさと繊細さと。ただどの女にももてるのが憎い。これも司馬氏の憧れでは?