ちょス飯読書日記『IN』
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/05/26
- メディア: 単行本
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これは、面白くない。『OUT』の万分の一も。どうした、桐野夏生先生。『東京島』『女神記』の方がまだ良かった。多忙で、時間がないのに量産を強いられるからなのか。
作中の作家が二流流行作家だからなのか?
恋愛とは何か、恋愛の「涯て」とは、相手を心で抹殺するとは、というテーマらしいが・・・。
ネタバレしたくないので、内容の詳細は伏せる。島尾敏夫の『死の棘』を下敷きにしているのか?「不倫」が文学として好まれるのか。文学者は、何人もの女と付き合っては、何べんも中絶させてやがて捨て、その体験を小説に書いて、大絶賛されるものなのか・・・。
あるいは、恋愛小説とは、ほんのちょっぴりの体験を誇張して、妄想をふくらませて書くものなのか。
女は男を独り占めしたい、男は、何人の女と付き合っても心は君だけのものだ、と絶対にすれ違うものなのか?
あるいは恋愛は「熱病」。一時燃え上がるだけで、「永遠の恋愛はありえぬ」と言うのが結論なのか?
記憶は、「つくられる」。
真実などない。という箇所には納得。
!ネタバレ注意! 大作家の未亡人が、『無垢人』(作中の小説名)に描かれていたか弱い、不細工な主婦ではなく、美しく才能豊かで派手好きな女性であり、今なお夫に恋愛中であり「涯て」なく彼を追い求め、彼の記憶を書き直していると言うのは、ちょっぴり怖かった。ここには桐野節が健在だ。
これを『IN』と名付けてはいけない。まだまだ桐野に、『OUT』匹敵するものは書ける。
もっと時間を取って、じっくり取材をして。男だって閉塞した社会、自分の殻の中で窒息しそうに生きている。男版、『OUT』はどうだろう。
誰でも良いから殺したかった・・・そう言って事件を起こしてしまうのは、たいてい真面目で弱々しい男達。
秋葉原事件の加藤某をモデルに、桐野夏生先生に是非、書いてほしい。
東電OL殺人事件をモチーフにして、書かれた『グロデスク』最高に面白かった。★五つ
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/06/27
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女児監禁事件をモチーフにした『残虐記』も。被害者への温かい励ましを感じた。★五つ
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/07/30
- メディア: 文庫
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